○長岡市議会基本条例

平成31年3月27日

条例第5号

長岡市は、平成の大合併により、守門岳から日本海に至る広大な市域を有する多様性豊かな市となり、人口と予算の規模も拡大した。それに伴い、議員に対する市民の期待や、議員の果たすべき職責もより一層大きくなっている。

また、地方分権が叫ばれて久しい今日、地方公共団体は、その主体性に対する重みが増すとともに、人口減少・少子高齢社会の到来など時代の大きな変化の波に対応していかなければならない。

こうした中で、地方公共団体の意思決定機関である議会の担う役割は、これまで以上に重要なものとなっている。

議会の役割は、日本国憲法により議会に与えられた議事機関としての使命を果たすことであり、議会は、地方公共団体の行政運営において、住民の福祉の増進のため、常に熟議し、最良の意思決定を行うことを旨としなければならない。

長岡市議会(以下「議会」という。)は、議事機関としての使命を厳粛に受け止め、これまで多年にわたり、自らの適切な在り方を常に追求し、不断の議会改革に努めてきた。

こうした改革を通じて確立した議会の基本理念をはじめ、議会のあるべき姿を議会の最高規範に据えることで、これらを将来に向けて確実に伝承するとともに市民に対して公約し、もって大いなる責任と決意に基づいた議会運営を行うものである。

よって議会は、市民に最も身近で、かつ、市民本位の立場にあることを深く自覚し、議事機関としての使命を今後も真に果たすことを通じて、市民の福祉の一層の増進を図ることをここに決意し、議会の最高規範としての長岡市議会基本条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、議会の基本理念その他の議会に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の信託に適切に応えるとともに、議会の在り方を将来に向けて確実に伝承し、もって市民の福祉の向上及び公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(最高規範性)

第2条 この条例は、議会における最高規範であり、議会及び議員の運営及び活動については、この条例が遵守されるとともに、その趣旨が最大限尊重されなければならない。

2 議会に関する他の条例、規則等の制定、改廃並びに解釈及び運用については、この条例の趣旨が尊重され、この条例との整合が図られなければならない。

(基本理念)

第3条 議会は、議会が市民の厳粛な信託を受けた議員により構成される合議制の議事機関であることに鑑み、その運営に当たり、公正かつ公平で民主的な議論を十分に尽くすことを旨とし、地方自治の本旨の実現に努めなければならない。

(議会の運営原則)

第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき運営されなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保し、市民に信頼される議会を目指すこと。

(2) 広く情報を公開し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(3) 議会の監視機能並びに政策の立案及び提案機能の強化その他不断の議会改革に努めることにより、市民の福祉の向上に資する議会を目指すこと。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の場であることを深く自覚し、市民の代表として議会で十分に審議及び討論を尽くすこと。

(2) 多様な市民の意見及び市の実態の的確な把握に努めるとともに、市民全体の福祉の向上及び市全体の発展を図ること。

(3) 自らの議会活動に関する情報を広く市民に対して提供し、当該活動に係る説明責任を果たすこと。

(4) 高い倫理観を備え、常に誠実かつ公正に職務を遂行するとともに、自らの資質の向上を図るため、不断の研さんに努めること。

(会派)

第6条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策等において同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、必要に応じて他の会派との調整に努め、円滑かつ効果的な議会運営を図るものとする。

(議長の活動原則)

第7条 議長は、議会の代表者として、常に中立公正な職務遂行に努め、民主的な議会運営を行わなければならない。

2 議長は、議会の代表者であることを深く自覚し、議会の秩序及び品位の保持に努めるとともに、自らの代表者としての資質の向上を図るため、不断の研さんに努めなければならない。

(議長等の選挙等における所信表明)

第8条 議長及び副議長を投票による選挙で選出する場合において、これらの職に就くために立候補する議員は、選挙の実施に先立って所信を表明しなければならない。

2 地方自治法(昭和22年法律第67号)第196条第1項の規定により、市長が議員のうちから監査委員を選任する場合において、選任を受けようとする議員が複数いるときは、これらの議員は、選任に先立って所信を表明しなければならない。

(附属機関等の構成員)

第9条 議員は、地方自治制度における二元代表制の意義に鑑み、原則として、法令等で定める場合を除き、市長その他の執行機関の附属機関又はこれに類する機関の委員その他の構成員とならないこととする。

(積極的な情報の公開)

第10条 議会は、広報紙、インターネットその他の媒体を複合的かつ効果的に活用することにより、議会に関する情報を市民に対して積極的に公開するよう努めなければならない。

(会議の公開)

第11条 議会は、開かれた議会運営に資するため、本会議のほか、議会における会議を積極的に公開するよう努めなければならない。

(市長等との関係)

第12条 議会は、市長その他の執行機関、水道局若しくは消防本部若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員(以下この条において「市長等」という。)との緊張関係を常に保持し、市長等の事務の執行の監視及び評価並びに市長等に対する政策の提案その他の議事機関としての責務を果たすものとする。

(政策の立案及び提案のための場)

第13条 議会は、必要に応じ、条例の制定その他の個別の政策の立案及び提案に関し、協議又は調整を行うための場を設けることができる。

(一般質問)

第14条 議員は、本会議において、市の一般事務について質問をすることができる。

2 前項の質問は、次のいずれかに該当するものとする。

(1) 本市の政策、計画、事業等について、総合的かつ大局的に、根幹をただし、その適正な実施につき監督することを本旨とするもの

(2) 市政一般について、総合的かつ大局的に、その大綱をただし、所信を明らかにすることを本旨とするもの

3 議員は、第1項の質問に当たり、論点及び争点を明確にすることにより、広く市民の市政に対する理解と関心を高めるよう努めなければならない。

(委員会の活動)

第15条 委員会は、その所管に属する市の事務に関する調査又は付託された事件の審査において、これらの事項につき最良の意思決定を導くため、会議における討議を十分に尽くすよう努めなければならない。

(所管事項に関する質問)

第16条 議員は、常任委員会において、当該常任委員会が行う調査又は審査のほか、当該常任委員会が所管する事項について質問をすることができる。

2 前項の質問は、次のいずれかに該当するものとする。

(1) 本市の政策、計画、事業等について、具体的かつ個別的に、実状をただし、その適正な執行につき監視することを目的とするもの

(2) 本市の政策、計画、事業等について、具体的かつ個別的に、課題を提起し、手法又は内容の改善その他の提案をすることを目的とするもの

3 第14条第3項の規定は、第1項の質問について準用する。

(政務活動費)

第17条 政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、その制度の趣旨を深く自覚し、誠実かつ公正に政務活動費を執行しなければならない。

2 議長は、政務活動費の使途の透明性を確保するため、政務活動費に関する書類の積極的な公開に努めなければならない。

(議会事務局の体制整備)

第18条 議長は、議会の監視機能並びに政策の立案及び提案機能を強化するに当たり、これらの機能に係る議員の活動を効果的に補助するため、議会事務局の体制の充実強化に努めるものとする。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成31年5月1日から施行する。

(検討)

2 議会は、この条例の施行後、市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

長岡市議会基本条例

平成31年3月27日 条例第5号

(令和元年5月1日施行)