○長岡市環境基本条例

平成8年12月20日

条例第29号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針(第7条)

第2節 環境基本計画等(第8条・第9条)

第3節 基本施策(第10条―第20条)

第3章 環境審議会等(第21条・第22条)

附則

私たちのまち長岡は、変化に富んだ四季とまちをやわらかく包みこむ東山連峰や西山丘陵、豊富な水をたたえ洋々と流れる信濃川など豊かな自然環境の下で人を育て、特有の文化をはぐくみ、産業を興し、今日の繁栄を築いてきた。

しかし、近年の資源やエネルギーの大量な消費と廃棄物の大量な発生を伴う社会経済活動により、便利で物質的に豊かな生活がもたらされた一方で、地域の環境だけでなく、生命存続の基盤である地球の環境までが損なわれつつある。

もとより、私たちは、良好な環境の下で健康で文化的な生活を営む権利を有しているが、同時に、私たちは、環境を現在の世代だけのものではなく、将来の世代とも共有するものとして守り、育て、引き継いでいく責務を有している。そのため、私たちは、自然との良好な関係を保ちながら、環境に配慮した日常生活や事業活動を営み、市、事業者及び市民が一体となって、環境への負荷の少ない循環を基調とする社会の実現に取り組んでいかなければならない。

このような認識の下に、健全で恵み豊かな環境を保全し、潤いと安らぎのある環境を創造し、これを将来の世代に引き継いでいくため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、健全で恵み豊かな環境の保全及び潤いと安らぎのある環境の創造(以下「環境の保全及び創造」という。)について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営む上で必要な環境を確保し、これを将来の世代に引き継ぐことができるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、市、事業者及び市民の自主的かつ積極的な取組によって行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境への負荷の少ない循環を基調とする社会が構築されるように行われなければならない。

4 環境の保全及び創造は、人と自然及び人と文化との豊かな触れ合いが確保されるように行われなければならない。

5 地球環境保全は、市、事業者及び市民が地域における事業活動及び日常生活の地球環境に及ぼす影響を認識し、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、次に掲げる事項について必要な措置を講ずる責務を有する。

(1) 事業活動に伴って生ずる公害を防止し、及び自然環境を適正に保全すること。

(2) 物の製造、加工、販売その他これらに類する事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、適正な処理が図られるようにすること。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工、販売その他これらに類する事業活動を行うに当たっては、次に掲げる事項を行うように努めなければならない。

(1) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されるときにおいて、廃棄物の減量等環境への負荷の低減が図られるようにすること。

(2) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料等を利用すること。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、廃棄物の減量、騒音の発生の防止その他の環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針

(施策の基本方針)

第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定並びに実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項が確保されるように、各種の施策相互の連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 人の健康が守られ、及び生活環境が保全されるように大気、水、土壌その他の環境が良好な状態に保持されること。

(2) 生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が適正に保全されること。

(3) 自然環境の適正な整備により人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

(4) 身近な自然、良好な景観等の保存及び形成、文化財その他の歴史的遺産の保存及び活用並びに雪の活用により、地域の個性が生かされた潤いと安らぎのある快適な環境が創造されること。

(5) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が図られること。

2 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定並びに実施に当たっては、市民、事業者及び民間団体(以下「市民等」という。)の参画及び協働を基本として行わなければならない。

3 市は、環境の保全及び創造に関する施策以外のすべての施策の策定及び実施に当たっては、環境への負荷の低減が図られるように配慮して行わなければならない。

第2節 環境基本計画等

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、長岡市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する基本的な施策

(3) 環境の保全及び創造に関する配慮のための指針

(4) 前3号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民等の意見を反映するため、必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第21条に定める長岡市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(年次報告)

第9条 市長は、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況について、年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。

2 市長は、年次報告書を公表したときは、市民等の意見を聴くために必要な措置を講ずるとともに、その意見を環境の保全及び創造に関する施策に反映するように努めなければならない。

第3節 基本施策

(開発事業に係る環境への事前配慮)

第10条 市は、住宅団地の造成、大規模商業施設の建設その他の開発事業を行おうとする者が、その開発事業の実施に当たりあらかじめその開発事業に係る環境の保全及び創造について適正に配慮するように、必要な措置を講ずるものとする。

(公害等を防止するための規制措置)

第11条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(経済的措置)

第12条 市は、事業者又は市民が環境への負荷の低減のための適切な措置を講ずるように誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、必要があるときは、これらの事業者又は市民に対し経済的な助成を行い、又は経済的な負担を求めることができる。

(施設の整備その他の事業の推進)

第13条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び緑化事業その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、自然散策路の整備、キャンプ場の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 市は、公園、緑地及び水辺空間の整備、歴史的遺産の保存及び活用その他の潤いと安らぎのある快適な環境の保全及び創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的利用等の推進)

第14条 市は、環境への負荷の低減を図るため、資源の循環的な利用に供する施設を整備するように努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、施設の建設、維持管理等に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が図られるように努めるものとする。

3 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備)

第15条 市は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等の体制を整備するように努めるものとする。

(環境教育等の推進)

第16条 市は、事業者及び市民の環境の保全及び創造に関する理解が深まるようにするとともに、これらの者の自発的な活動を行う意欲が高まるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第17条 市は、市民等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(環境情報の提供)

第18条 市は、第16条の環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに前条の市民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進を図るため、環境の状況に関する情報並びに環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するように努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第19条 市は、環境の保全及び創造に関する広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して推進するように努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第20条 市は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に関する施策を推進するとともに、国、他の地方公共団体その他関係団体と協力し、地球環境保全に関する調査、情報の提供等に努めるものとする。

第3章 環境審議会等

(環境審議会)

第21条 市長は、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、長岡市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事務を担任する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関する事項を審議し、市長に意見を述べること。

(2) 年次報告書に関する事項を審議し、市長に意見を述べること。

(3) 前2号に掲げる事項のほか、環境の保全及び創造に関する重要事項を審議し、市長に意見を述べること。

(4) 長岡市地下水保全条例(昭和61年長岡市条例第21号)第13条第5項の規定に基づき、市長の諮問に応じ、同条例の規定による指導又は勧告に従わない者の事実の公表について審議し、意見を具申すること。

(5) 長岡市稀少生物の保護等に関する条例(平成17年長岡市条例第101号)第3条第3項の規定に基づき、市長の諮問に応じ、同条例の規定による保護地域の指定について審議し、意見を具申すること。

3 審議会は、市長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(市の推進体制の整備)

第22条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、市の機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図るための体制を整備するものとする。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第21条の規定は、平成9年4月1日から施行する。

(平成16年3月26日条例第10号)

(施行期日)

1 この条例は、平成16年7月1日(以下「施行日」という。)から施行する。

(平成17年3月22日条例第101号)

(施行期日)

1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。

長岡市環境基本条例

平成8年12月20日 条例第29号

(平成17年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第6章 境/第1節
沿革情報
平成8年12月20日 条例第29号
平成16年3月26日 条例第10号
平成17年3月22日 条例第101号