長岡空襲から81年
平和への想い 次世代に

 昭和20年8月1日の長岡空襲。市街地の約8割が焼け、多くの尊い命が奪われました。
 あの日から81年。
 5月に移転オープンした長岡戦災資料館で、戦火を生き延びた野本九萬雄さんから戦争の悲惨さと平和への想いをお聞きしました。

【問】総務課☎39・2203

野本 九萬雄(のもと くまお)さん (89歳)

大手通りにあった「越(こし)時計店」の長男として生まれた野本さん。空襲当時は、両親と姉、弟の5人で店舗兼住宅に暮らしていました。
昨年10月から、長岡戦災資料館のボランティアとして自身の体験を語り伝えています。



長生橋から振り返ると
まさに地獄絵図―

長生橋の東詰から見た空襲後の市街地。長岡駅方面まで見渡せるほど、
一面が焼け野原となりました
 空襲の時は8歳、阪之上国民学校(現・阪之上小学校)2年生の夏休みでした。家業は祖父が創業した大手通りの時計・レコード店。職人や店員が徴兵され、店は開店休業状態でしたが、長岡駅へ向かう出征兵士を激励するために大音量で軍歌を流していました。私たち子どもにとっても兵隊さんになることが夢でした。
 一方で、次第に戦況が悪くなっていることも感じていました。戦死した兵士の骨箱を駅で受け取った家族が、店の前を静かに通る様子をよく目にするようになったからです。そして、B29爆撃機から空襲を予告するビラがまかれると、不安は一気に高まりました。

燃え上がる街を家族で逃げた夜


 8月1日は暑く寝苦しい夜でした。10時半ごろだったと思います。空襲警報が鳴り響き、「空襲が始まったぞ!」と父が怒鳴りながら部屋に飛び込んできました。たたき起こされ、何が何だか分からないまま親に引きずられて外へ出ると、すでに南西の空が赤く染まっていました。「絶対に離れるな」と強く言われ、家族5人で手を取り合って家を出ました。
 B29のすさまじい爆音が響く中、避難場所に指定されていた平潟神社の防空壕へと急ぎます。しかし境内も防空壕も人であふれ返っていました。行き場を探して右往左往していると、近くにも焼夷弾が落ち始めたので、長生橋を渡り川西方面へ逃げることにしました。
 橋に向かう間もどんどん激しくなる空襲。空を見上げると、燃える街に照らされた銀色のB29からパラパラと焼夷弾(しょういだん)が降り注いできます。次々と噴き出す炎。あまりの熱さに、近くにある防火用水を頭からかぶり、猛烈な熱風に追われるように逃げました。5歳の弟を背負い、私の手を引く父。家族全員が死に物狂いでした。
 何とか長生橋までたどり着いて振り返ると、街は真っ赤な炎に包まれ、まさに地獄絵図。橋を渡ろうとしましたが、警防団に「橋にも焼夷弾が落ちて危ない」と止められ、土手伝いに南へ向かいました。
 疲れ果てた私たちは、信濃川の河川敷にあった農作業小屋で体を休めます。しばらくして外に出た直後でした。その小屋に焼夷弾が直撃してあっという間に燃え上がったのです。生と死はまさに紙一重でした。その後、火を避けて長生橋の下に逃げ込み、「ようやく助かった」と家族で体を寄せ合いました。
 私は、そのまま眠り込んだのでしょう。夜が明け、土手から眺めた街は真っ黒に焼け崩れ、煙が上がっていました。ただただぼうぜんとするしかありませんでした。
 私の店は、石の柱が残るのみ。街のいたるところに黒く焼け焦げた遺体が転がっていて、恐ろしさに体が震えました。
長岡空襲前の大手通り。左端の建物が野本さんの時計店
(出典:写真が語る 長岡市の100年/いき出版)

思い出の建物で、経験を次世代に


 現在、長岡戦災資料館のボランティアとして、小・中学生に私の体験を語っています。新しい資料館は、私が学生時代に通った旧互尊文庫を改修していて、ここで若い人たちに会えるのは、感慨深いですね。
 今も世界では戦争が起きています。子どもたちもその惨状をインターネットやテレビで知ることができますが、映像や知識だけでは伝わらないことがあります。だからこそ、私の生の体験を心にとどめてほしいのです。
 平和あってこその人生です。戦争は絶対に悪です。今すぐに、戦争というものがなくなって欲しい。そう願っています。
戦災資料館で中学生に空襲の体験を語る野本さん。分かりやすく伝えることを大切にし、
文字の大きさやイラストにこだわった資料を自作しています

8月 平和を祈る行事

【1日(土)】
戦災殉難者慰霊祭
時間:6:00から
場所:平潟公園(表町1)

戦災殉難者墓前法要
時間:7:00から
場所:昌福寺(四郎丸4)

2026平和祈願祭
~空襲で亡くなった子どもたち・教職員と市民を追悼する集い~

時間:8:00~8:30
場所:平和の森公園(本町3)

長岡市平和祈念式典
時間:9:00~10:00
場所:アオーレ長岡

鎮魂たむけの花
時間:10:00~16:00
場所:アオーレ長岡

ながおか平和フォーラム
時間:10:15~11:50
場所:アオーレ長岡
内容:広島平和記念式典派遣中学生結団式、くにたち原爆・東京大空襲体験伝承者・安斎陽子さんによる講演など

市民におくる映画の集い
時間:10:15~11:10
場所:アオーレ長岡
内容:アニメ映画の上映

柿川灯籠(とうろう)流し
~灯りで繋ぐ、子どもの未来~

時間:18:00~21:00(セレモニーは18:00から)
場所:柿川(一之橋~追廻橋)

慰霊の花火「白菊」の打ち上げと梵鐘の打ち鳴らし
時間:22:30から

空襲の体験談を話してくれる人や空襲で亡くなられた方の遺影を探しています。情報をお持ちの人は長岡戦災資料館 ☎36・3269へ


関連事業
長岡空襲史跡巡り
日時:8月22日(土)9:30~12:00
定員:20人(先着)
集合・申込:8月4日(火)から
 長岡戦災資料館 ☎36・3269へ

市内中学生平和作品展
日時:8月23日(日)までの9:00~16:30(入館は16:00まで。8月17日(月)は休館)
場所:長岡戦災資料館

<入賞者(敬称略・順不同)>
▶作文の部…青柳杏(あんず)(南中2年)、大関百花(ももか)(北中3年)▶ポスターの部…杉沢澪音(みお)(南中2年)、高橋怜愛(れあ)(大島中1年)▶標語の部…須藤奈々(なな)(旭岡中2年)、髙山一輝(いつき)(南中2年)