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トップ > 産業・ビジネス > 雇用 > 市内企業トップインタビュー > 「ザ・イノベーションカンパニー Vol.1」 

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市内企業トップインタビュー「ザ・イノベーションカンパニー Vol.1」

最終更新日 2021年11月19日

革新的な経営を行っている市内企業のトップにインタビューし、経営の秘訣に迫るインタービュー記事シリーズ「ザ・イノベーションカンパニー」。
事業者の皆様や勤労者の皆様が新たな道を切り開くヒントとして、ぜひご一読ください。

「ザ・イノベーションカンパニー Vol.1」
株式会社太陽工機(西陵町) 代表取締役社長 渡辺剛さん

市政だより10月号で特集した工作機械メーカー・太陽工機(西陵町)。1986年に現会長の渡辺登さんが創業した同社は、今や立形研削盤(※1)業界で国内トップクラスのシェアを誇るリーディングカンパニーにまで成長しました。海外でも多くの顧客を抱え、今後は世界市場のシェア拡大を目指すと語るのは創業者の息子で二代目社長の渡辺剛さん。
会長が一代で築き上げた会社のトップの座を引き継いだのは約2年前のことです。
2007年にJASDAQ上場を果たした後もチャレンジスピリットを持ち続ける同社。様々な社内変革を行う渡辺社長に同社の経営について伺いました。市政だよりに掲載し切れなかったお話についてお伝えします。

「株式会社太陽工機 代表取締役社長 渡辺剛さん」の画像

――まずは貴社製品の特長を教えてください。
 全製品の7割以上が立形研削盤ですが、立形研削盤の優位性を一言で表すと「作業性」だと言えます。もともと立形研削盤が開発されたのは、お客様が重い加工物の取り付けに苦労されていたという背景があります。また、横形だと強い保持力で加工物を把握する必要が有る為ため加工物がたわみ、精度がどうしても落ちるのですが、立形は重力に逆らわないため、高精度が出せるのです。立形研削盤はお客様の声をヒントに、創業間もない1989年に当社が開発しました。
 それまでの世の中に無かったタイプの機械を地方のベンチャー企業が開発したわけですが、当時は信用が得られず、認知度も無かったため、販売は苦戦しました。それでも価格ではなく高精度を売るという姿勢を貫き続け、開発から30年以上が経った今では、立形研削盤市場で国内トップクラスのシェアを占め、他社を圧倒!?しています。

――平均年齢が36.7歳(2020年度末時点)と若い社員の方が多いですね。社長として社員の方に対して意識されていることはありますか?
 私が意識しているのは社員との距離感ですね。上場企業の社長というと世間一般的には物凄い人と思われがちですが、私自身としてはまだ社員に近い年代(44歳)なんですね。製造現場をできるだけ回って、努めて声を掛けるようにしています。私が海外赴任していた頃に入社した社員もいますが、社員全員の顔と名前が一致するよう積極的なコミュニケーションを心掛けています。

――採用イベントの現場にも社長ご自身で立たれ、採用にかなり力を入れている印象があります。どのような若者に入社してほしいですか?
 今でも工場見学の際は、私も参加するようにしています。比較的年齢の若い代表として、社員との距離感をあまり遠くしたくないという思いがあります。活発で、協調性があって、多趣味な人に入社してほしいです。多趣味というのは、いろいろなことに興味を持てるということなんです。仕事に置き換えると、他部署の仕事にも興味を持ち、話を聞いて、それを自分の仕事にも組み込めるということ。そうすると会社全体としても上手くいきます。趣味を通じた仲間がいる人は、仲間とも円滑なコミュニケーションが取れる人だと思います。一人ではできない仕事ですから、そういったコミュニ―ション能力のある人を求めています。

――会社として行っている環境配慮への取り組みを教えてください。
 世界的にもESG(※2)やSDGs(※3)の取り組みが活発になっている中で、実は今年7月に、当社工場もカーボンフリー電力に切り替えました。今後、設備投資を予定している西部丘陵東地区の新工場についてもそういった環境へ配慮した取り組みを加速していかなければと思っています。通常の電力に比べるとカーボンフリー電力は割高にはなります。しかし、それでもやる必要があると考えています。電力生成過程で発生する二酸化炭素が環境へ大きな負荷を与えていることは間違いありません。今後はサプライチェーンも含めてカーボンフリー電力への切り替えを推進していきたいです。

――ワークライフバランスにも力を入れられていると伺いました。
 勤務時間12時間インターバルと在社時間12時間制度を導入しています。最長でも出社してから12時間以内に帰り、帰ってから12時間は空けて次の日は出社する。そういう取り組みを2年ほどやっています。私含め全社員が徹底しています。正直、昔は夜中まで残業している社員もいましたが、それでは私生活にも支障が出てしまいます。社員の年齢が若いだけに小さな子どもがいる家庭も多いので、メリハリをつけて働き、家庭生活も充実してほしいと思っています。

――その他に福利厚生として取り組まれていることはありますか?
 業務に必要な資格を取得すればスキルに応じた手当が受けられます。また、TOEICの点数に応じて毎月の手当も上がります。自社のプライベートショー(工場での製品展示会)の最終日には、地元の皆さんや社員の家族を招いて、交流を深めています。その他には、自社内の食堂が自慢です。定食2種類、丼、カレー、麺類等のメニューを提供しています。食堂での費用は半額くらい会社が負担しています。どれも本当に美味しいですよ!

――コロナ禍で意識の変化はありましたか?
 今までの当たり前が通用しない時代になったと感じました。リモートワークの普及など、「これが当たり前」という考えにこだわらないことが非常に重要です。また、WEB上でのやり取りが増えた分、対面のコミュニケーションの重要性も改めて感じました。言葉の細かいニュアンスであったり、表情の変化であったりですね。お客様の要望を取り入れた機械作りをしていますので、対面のコミュニケーションは今後も大切にしていきたいです。

――最後に、今後の目標について教えてください。
 2030年には年商200億円、海外売上比率5割を目指したいと思っています。現在は海外3割、国内7割です。そのためには工場等の生産拠点の整備、海外に対応できる人材の採用などを準備していかなければなりません。デジタル化というかDX化への対応も急務と考えています。まだ生産工程管理とか工数管理はアナログでやっていて、今まさに社内システムの入れ替えに取り組んでいます。コロナ禍でも黒字は確保しましたが、DX化を進め、さらに効率化が図れればさらに黒字が出せます。今までの慣れたやり方を変えるのは大変ですが、思い切って決断をして今までのやり方を変えていかないといけません。製品も含め時代にマッチした形に継続的にアップデートしていきます。今まで以上に社員の働きやすい環境を整え、大きな目標にチャレンジしていきたいと思います。

「本当の豊かさを、確かな未来を。テクノロジーの力で挑戦する企業へ!」

――渡辺剛 談(力強く)

※1「研削盤」・・・・円盤状の砥石を高速で回転させ、加工物を削っていく工作機械。株式会社太陽工機では、自動車や産業機械の部品を精密加工する研削盤の開発から販売までを行っている。
※2「ESG」・・・・「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」のことを指す。近年、企業が長期的に成長するためには、経営の中でESGへの取り組みが重要との見方が急速に広まっている。ESGに積極的に取り組む企業に投資する「ESG投資」が、現在の株式市場の新潮流となっている。
※3「SDGs」・・・・持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年の国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成される。

このページの担当

産業支援課 工業振興担当
〒940-0062 新潟県長岡市大手通2-6 (大手通庁舎)
TEL:0258-39-2222  FAX:0258-36-7385

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