○長岡市中山間地域振興条例

令和4年9月6日

条例第33号

長岡市は守門岳から日本海までに及ぶ広大な市域を有し、日本一の大河、信濃川を中心とした豊かな自然に恵まれた市である。私たちは今日まで厳しい自然と共存し、その恩恵を享受し生活を続けてきた。

その中でも中山間地域は、食料の供給、水源のかん養、洪水や土砂災害の防止等による国土の保全、水や大気の浄化による環境の保全、豊かな自然や伝統文化とのふれあいと安らぎの場の提供その他の重要な公益的機能(以下「中山間地域の公益的機能」という。)を有している。信濃川をはじめとする豊かな河川の恵みは、その流域で多くの農作物を実らせ、日本海へと注ぎ込み海洋生物を育むなど、私たちの生活を支えている。また、森林や棚田などの美しい景観に加え、厳しい自然の中で育まれてきた地域特有の伝統と文化は大切な資源として地域の宝を生み出した。

しかしながら、近年の社会情勢等の変化により、中山間地域では都市部に比べて特に少子高齢化、人口減少が急激に進行したことで、地域コミュニティや集落の維持が困難な地域が増えており、担い手不足による耕作放棄地も増えるなど、公益的機能の維持や地域資源の確保等にも影響が出始めた。一方で、ゆとりと安らぎのある中山間地域で暮らすことの価値が、改めて評価されている。

今後、中山間地域の荒廃が進むことになれば、その恩恵を享受している都市部への影響も懸念される。中山間地域の振興を総合的かつ計画的に推進するとともに、中山間地域の公益的機能や地域資源としての価値を市民全体で共有し、次世代まで繋ぐため、本条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、本市における中山間地域の振興に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び地域住民の役割を明らかにするとともに、中山間地域の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中山間地域の公益的機能を市民全体で共有し、その振興を総合的に推進し、もって市民が安全に安心して住み続けることができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中山間地域 平地の周辺部から山間部までの地域で、その地理的条件や人口の減少等により、農業生産及び生活条件が不利な地域をいう。

(2) 地域住民 中山間地域において居住し、又は事業を営む者をいう。

(基本理念)

第3条 中山間地域の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。

(1) 中山間地域の公益的機能が市民の共有財産であり、市民生活の向上に重要な役割を担っていることを理解し、市民がその恩恵を享受していることを認識することを通じて、中山間地域の公益的機能の維持を図ること。

(2) 地域住民の自主的かつ主体的な取組を尊重することにより、地域住民が誇りを持ち、互いに支えあい、安心して住み続けることができる地域社会の形成を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中山間地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念の理解を深めるとともに、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(地域住民の役割)

第6条 地域住民は、自主的かつ主体的に中山間地域の振興を図るよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第7条 市は、中山間地域の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項を基本とするものとする。

(1) 中山間地域の公益的機能及び地域資源に関する市民の理解の促進を図ること。

(2) 中山間地域の自然環境及び景観の維持保全を図ること。

(3) 中山間地域の産業の振興と担い手の育成を図ること。

(4) 中山間地域における各地域の実情に応じた生活基盤の整備を図ること。

(5) 中山間地域における移住や定住の促進を図ること。

(6) 中山間地域の伝統や文化の保存及び伝承に必要な支援を図ること。

(7) 中山間地域が有する地域資源を活用した多様な交流の推進を図ること。

(市民等に対する支援)

第8条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が中山間地域の振興に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第9条 市長は、中山間地域の振興に関する施策を策定し円滑に実施するため、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民の意見等の反映)

第10条 市は、市民の意見及び中山間地域の現状を把握し、中山間地域の振興に関する施策に的確に反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(年次報告)

第11条 市長は、毎年、中山間地域の振興に関する施策の実施状況等について議会に報告し、これを公表するものとする。

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

長岡市中山間地域振興条例

令和4年9月6日 条例第33号

(令和4年9月6日施行)